名探偵ピカチュウ
どうもこんにちは、ちはるです。
今月の3日(金)、名探偵ピカチュウが日本先行という形で公開されましたね。
何かと話題になっている本作を友人と観てきたので、その感想をつらつらと。
『名探偵ピカチュウ』って?
簡単に言えば、大人気ゲーム『ポケットモンスター』に登場する超人気ポケモン・ピカチュウを中心に据えてハリウッドが実写化した映画です。
ストーリーは以下の通り。
かつてポケモンのことが大好きな少年だったティム(ジャスティス・スミス)は、ポケモンに関わる事件の捜査へ向かったきり、家に戻らなかった父親・ハリーとポケモンを、遠ざけるようになってしまった。
それから年月が経ち、大人になったティムのもとにある日、ハリーと同僚だったというヨシダ警部補(渡辺謙)から電話がかかってくる。「お父さんが事故で亡くなった―」。複雑な思いを胸に残したまま、ティムは人間とポケモンが共存する街・ライムシティへと向かう。荷物を整理するため、ハリーの部屋へと向かったティムが出会ったのは、自分にしか聞こえない人間の言葉を話す、名探偵ピカチュウ(ライアン・レイノルズ)だった。
かつてハリーの相棒だったという名探偵ピカチュウは、事故の衝撃で記憶を失っていたが、一つだけ確信をもっていることがあった……。「ハリーはまだ生きている」。ハリーは何故、姿を消したのか? ライムシティで起こる事件の謎とは? ふたりの新コンビが今、大事件に立ち向かう!(『名探偵ピカチュウ』公式HPより)
以下、ネタバレを含む感想に入りますので、ネタバレNGの方はブラウザバック推奨です。
本当にリアルで可愛いポケモンたち
舞台は人間とポケモンが美しく調和する街・ライムシティ。
調和するというくらいなのだから、街のそこかしこにポケモンがいるのだけど、その全てがリアルだった。
映画公開前から3Dモデリングされたポケモンたちの姿がいろいろ物議を醸したり醸さなかったりな本作。
僕も、バリヤードとかバリヤードとか、特にバリヤードのリアルな姿を見たときは「子どもが泣くのでは……?」と真顔になりました。
(PV↓の2分13秒あたりに動くバリヤードくんの姿が)
けれど、実際に本編を観てみるとそれは杞憂だったなぁ、と。
確かに、実写化に伴ってリ・デザインされたポケモンたちを、それ単体で、かつ静止画で見ると今でも不気味だなぁと思うけれど、それが現実世界に登場すると、思っていた以上に馴染む。
毛並みとか、肌に透けてる血管の様子とか、虹彩の模様とか、細かい部分へ目がいく度に「あ、現実に居そう」という感想が脳裏にひらめく。
質感が動物のそれ。
それくらい、現実世界の風景とマッチするリアル化がなされていました。
そして既知の動植物を原型に見ることができる他ポケモンとは一線を画したデザインのバリヤードもまた、実際に動いて主人公と交流する場面を見ると、やっぱり「居そう」なのだからすごい。
それでいて皆かわいい。
すごい(語彙力)。
ただ、エイパムに関しては何となく「ナイな……」と思ったのはここだけの話。
人とポケモンの美しい調和
言うほど人とポケモンが調和してたかなぁ?
本作で描かれているのは、人とポケモンの共生。
舞台となるライムシティにはポケモントレーナーが存在せず、人とポケモンが平等な住民としてそこに暮らしているとの話。
けれど、それはどうかなぁ、というのが僕の感想でした。
確かに、見事なグラフィックでポケモンが現実世界に溶け込んでて、交通整理をするゴーリキーとか、消火活動をするゼニガメとか、すごいリアル。
けれど、溶け込んでいるとは言っても、それはポケモン側が人間社会に溶け込んでいるという感じであって、特別に美しく調和してるって気はしなかったのが正直なところです。
原作ゲームから始まって、アニメ版ポケモンやポケスペ*1を知っている身からすると、街へのポケモンの溶け込みっぷりが言うほど想像の範疇を超えていないし、「別にトレーナーがいる世界観でも同じことでは?」と。
ロケット団とか、その他悪の組織は別として、これまでの作品だって十分に人とポケモンは互いに支えあって、尊重しあって生活している。
むしろ、今回の映画はポケモンバトルこそ一部の違法闘技場を除いて無かったものの、結局人間がポケモンを使役してるし、悪者はポケモンでアレな実験を繰り返してて……、とお約束な内容。
物語の舞台がライムシティであった理由は……???
ここに、作品のテーマの一つであるだろう「共生」に若干の違和感が。
しかも、劇中でピカチュウが怪我を負ってしまい、主人公が彼を助けようと野生のフシギダネに「助けてくれ!」と助けを求めるシーン。
あそこでヒロインが「無駄よ、人間の言葉は通じないわ!」的なことを言ってしまう。
うーん。
結局、人とポケモンは分かり合えないと言ってしまっているようなものでは…?
少なからず、サトシに対してカスミやヒカリ(古い…笑)はこんなこと言わない、と思う。
僕はあの発言、ちょっとショックでした。
現実世界でだって、人は言葉が通じなくても動植物に話しかけるじゃない。
それが生き物との接し方じゃない。
僕は飼い猫に毎日話しかけてるよ。
それを「言葉は通じない!」とか言われたら、ん~~~~~~~~~~~~~~~~~、ってなる。
確かにあの危機的状況で主人公がしていることは、無駄に見えるかもしれない。
ヒロインは超現実主義的だったのかもしれない。
ヒロインの言ってることは確かに正しい(結果的に主人公が正解だったけど)。
けど、ポケモン映画でそれを言ったらダメじゃろ~~~~~~~~~。
バリヤードに見る共生の姿
などなど、その他の点も含めて「確かに面白い映画だったけど、世間で騒ぐほど面白い作品ではない」というのが僕個人の『名探偵ピカチュウ』に対する評価だったわけですが、映画館からの帰り道、冷静に作品を振り返って思い浮かんだのは、あのバリヤードくんの笑顔でした。
(公式PVより)
というのも、ですよ。
主人公とピカチュウのコンビは事件解決の手掛かりを得るためにバリヤードのもとを訪れるわけですが、このバリヤード、一言も言葉を発しないんですよ。
アニメのように「バリバリ~!」とか言わない。
終始無言。
その代わり、彼がコミュニケーションに用いたのがパントマイムなのです。
(下のPVの1分47秒あたりでその様子をチョロっと観れます)
何を言っても訊いても無言。
ただパントマイムをしてくる。
普通、大切な用事があるのにそんな態度を取られたら、その時点で怒ったり立ち去ったり拳を飛ばしかねないと思うんですよ。
なので僕は、このバリヤードのようには振舞えないなぁ、と思うわけですけど。
今作の主人公はそうではなかった。
主人公は、バリヤードのパントマイムに対して、パントマイムで応答を試みた。
結果、バリヤードとの意思疎通に成功する。
つまり、バリヤードにとってパントマイムそれ自体が言語であることを察して、自分からバリヤードの生き方に歩み寄ったわけですよ。
ポケモンとの共生って、たぶんこういう事なんだな、と。
我々の世界でも、共生が叫ばれてるわけじゃないですか。
それは人間同士についても同じなわけで、けれどそれが難しいからこそ、世界で争いは絶えないし、環境破壊等々も起こり続けているわけじゃないですか。
我々の世界で異民族・異種族との共生が難しいのと同様に、人間とポケモンとの共生も、難しいことなんだと思うんです。
現に、このシーンでピカチュウはキレてるわけですし。
(公式PVより)
(同上)
またこのシーン、ピカチュウはバリヤードとの意思疎通に失敗しているけれど、幼い頃ポケモントレーナーに憧れていた主人公はバリヤードとの「会話」に成功しているのがまた、象徴的だな、と。
それってつまり、トレーナーでもないのに違法闘技場で咄嗟にピカチュウへ戦略の指示が出せるくらい、ポケモンへの愛情と理解があるからこそ出来た業なんだと僕は思ったわけです。
街中でポケモンと一緒に働くことも、また十分素晴らしい光景だと思います。
けれど、それは「適材適所」という言葉こそ相応しい光景なのであって、作中で言われた「美しい調和」とは何となく違う気がしたんです。
けど、主人公がそうしたように、ポケモンの在り方を理解して、人間側がポケモンに寄っていく光景が、本当の意味で「美しい調和」なんじゃないかなぁ、と思いました。
子どもが泣くとか言ってごめんよ、バリヤード。
僕は君に感動をもらった。
EDムービーで泣きそうになった
すでに書いたとおり、「確かに面白い映画だったけど、世間で騒ぐほど面白い作品ではない」というのが僕のこの作品に対する感想です。
それは本編ラストシーンが終わってから今まで、ずっと変わりません。
もちろん良い映画であることは確かですけどね。
が。
本編終了後、流れたEDムービー。
それを観た瞬間、初めて「この映画を観に来てよかった」と思えました。
何がどう良かったのか。
散々ネタバレをしておいて何ですが、「それは直接観てほしい!」と言わざるをえない。
そんな気持ちです。
僕はかなり涙腺に来ました。
隣に友人が居なければ、ホロリといっていたかもしれない……。
そして、その瞬間の感動を的確に描いた漫画を、Twitterにて掲載されていた方がいらっしゃいましたので、ご紹介させて頂きます。
探偵ピカチュウを見に行って、ラストの映像で全てを持ってかれた男の末路 pic.twitter.com/VaDJ6xNWZK
— 眼鏡バズーカ (@MEGANEbazooka) 2019年5月15日
本当にこれ(共感のすなあらし)。
眼鏡バズーカ(@MEGANEbazooka)さん、掲載を許可下さりありがとうございましたm(__)m
おわりに
さあ、こんなブログはさっさとブラウザバックして
チケットをネット予約するんだ。
そうすれば明日、早ければ今日のレイトショー後にでも、君は冒険の旅に出ているはずさ。
かけがえのないパートナーと一緒にね。
まあ、僕はSwitchも3DSも持ってないんですけどネ。
ソレハオイテオイテ。
ライアン・レイノルズピカチュウは可愛いし、コダックもいい味出してるし、コイキングが跳ねるし、渡辺謙も渋い、ポケモン愛に溢れた映画ですので、ぜひ劇場まで足を運んでみて下さい。
ではでは、ここまで読んで下さりありがとうございましたー。
*1:ポケットモンスター・スペシャル